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語られない闇を語る

司法試験、大学受験、労働問題、社会問題などを中心に、あまり語られていない・語りつくされていない闇について語っていこうと思います。苦難と失敗から得た知見を曝け出していく予定です。

見かけの合格率に騙されてはいけない 実質を見よ【司法試験】

 人というのはちゃんと物事を調べず、すぐ結論を出そうとして失敗するものだ。

 ちゃんと統計を分析することなく、適当に答えを出して、堂々と間違ったことを言っている人は少なくない。

 

 

 新司法試験の難易度はその典型例であろう。

 確かに部分的には優しくなったところもあるし、合格者自体は増えている。なので、多少は難易度がマシになったところはあるかもしれない。

 しかし、世間が思うように、決して偏差値80の試験が偏差値70になったようなことはない。

 

(それだけ簡単になったら法学部離れ、法科大学院離れなんて起きているはずがないし、だいたいそんな簡単に法曹資格を取れるようにすると思いますかという話だ。

 裁判所は国の重大な三権の一つである司法権を持っている。

 その気になれば、法律を違憲として無効にしたり、人を死刑にしたりすることだってできるほどの強力な権限をもつわけだ。それほどの権力を持つ組織の人間になりうる人間を選抜する試験がそんな簡単であるわけがない!)

 

 

 …話が逸れましたが、何故人々が新司法試験がすごく簡単になったみたいな誤った認識をもち、いまだその認識が変わっていないかというと、合格率が一気に向上したというのが大きな要因でしょう。

 確かに、一般論でいうと、合格率がすごく上がったという事実がある以上、すごく簡単になった可能性が高いです。

 

 しかし、合格率というのは制度をいじることで容易に操作できてしまいます。
 制度を変えて、母数を意図的に減らしてしまえばいいのです。

 

 

 司法試験で具体的にどう制度をいじったかというと、受験資格の制限です。

 旧司法試験時代は、大学3年生以上であればだれでも司法試験を受けることができました(あ、一定以上の前科持ちはダメだった気がする)。

 受験生は、早い人なら大学3年からダメ元で受験をし、そうでない人も4年から受験を始め、合格するまで受け続ける。そういうシステムでした。

 

 

 それに対して、新司法試験時代では、法科大学院を修了していないと原則として司法試験を受けることができません。

 本来であれば、司法試験を受験していただろう大学3年4年、法科大学院1年2年3年、三振をおそれ受け控えした者(昨年から五振制度に変更したので今はカウントしなくてよい)、受験資格喪失者は受験生にカウントされなくなったのです。

 さらに法科大学院を経由せずに司法試験に合格しようとして予備試験を受験したが落ちた人もカウントされません。

 

 

 予備試験受験者は12500人ほどいて、合格者の多かった去年でも合格者は400人です。12000人は昔なら司法試験を受験していたのに、今は受験することすらできません。

 また、どうせ法科大学院に行くから、どうせ法科大学院を卒業するからという理由で、司法試験は受ける予定だが予備試験は受けないという層もかなりの数いるでしょう。むしろ、法科大学院在学生はほとんどそういう人ではないでしょうか。

 法科大学院の実入学者数は毎年500人レベルで減って、平成26年度は約2300人です(下参照)。司法試験なら受けるが予備試験は受けないという層はざっと4000人ぐらいはいるかもしれないですね。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2014/07/14/1349562_2.pdf

 

 

 おまけに言うと、法科大学院は合格率によっては国の助成額が減らされるため、下位ローを中心に、留年者を増やすことで見せかけの合格率を上げようと奔走する動きもあります。

 私のローも3割ぐらいは留年していたと思いますし、特にひどいと言われている広島修道なんかは8割とか下手したら9割近くいっているかもしれませんね。面倒なので本当かどうかは調べませんが。

 

 ある地方ローの人から、「例年それほど留年率が高くなかったのに、一部教授がやりたい放題やった結果、留年率がほぼ7割になった年があった」という笑えない実話を聞いたことがありますし(大学のHP見たら残念ながら本当だった)、広島修道のような話題に挙がっている底辺ロー以外の下位ローも大概だと思います。

 

 

 予備試験を受験して不合格になった者、予備試験を受けなかった法科大学院在学生は昔なら司法試験を受けていたと強く考えられますし、旧司法試験と比較するのであれば、実際の受験者数である8000人ほどの3倍である24000人が実質の受験者数と考えるべきではないでしょうか。かつての出願者数↓をみたらもっと多いかもしれません。

法務省:旧司法試験第二次試験出願者数・合格者数等の推移

 そう考えると、とんでもなく大雑把に見たとしても、合格率は2割ちょっとから、7.5%ぐらいになりそうですね。よし、2.5倍ぐらいにはなっているな!

 

 しかし、ガチで人生懸けた人ばかりが受けるようになった、知っておかないといけない判例が増えた、そもそも科目数が増えた、かつては司法修習でやることまで問われるようになった、具体的事案を元に事実を的確に評価して論述するという能力も強く求められるようになった、問題文の分量が劇的に増えた、受験料が増え日程がタイトになり記念受験がありえなくなったなどの変化があります。

 今は弁護士が思うように稼げなくなってきていますし、受験までにかかる費用も莫大なものになっているため、そう簡単に司法試験を受けようと志すことすら難しい状態です。司法試験を受けようと何らかのアクション(法科大学院を修了しようとする、予備試験に合格しようとする)をする時点で、だいぶ人が厳選されてしまいます。

 そういったことを考えると、合格者の平均レベルは下がっているかもしれませんが、受験者の平均レベル自体は上がっているでしょう。以前にもましてガチで人生懸ける人しか受けないようになってきていますからね。

 そのため、倍率が下がったところでさほど難易度は下がっていないのではないでしょうか。

 


 就職率、有効求人倍率と同じで、作為を加えて母数を減らし実態の酷さを隠し、数字上マシに見せる欺瞞が思われているわけです。
 就職できなかった人は最初から就職を希望していなかったことにして母数から外して就職率100%以上を謳う専門学校と同じわけです。
 国家試験に合格できなさそうな人は留年させて、受験させなくし、母数から外す一部の大学医学部と同じわけです(医学部は、法科大学院より学費が圧倒的に高いためもっと闇が深いですが↓)。

kinigaku.2chblog.jp

 

 見かけだけ見れば「言うほど合格率低くないやん。自分ならこれぐらいの合格率の試験は受かる」と思ってしまうかもしれませんが、ちゃんと実質を見ないと人生が崩壊しますよ。

 周りに司法試験を目指すと言う人がいる場合は、是非とも真実を教えてあげてください。ちゃんと事実を知ったうえで挑戦するなら自己責任ですが、事実も理解していないのに挑戦させてしまった場合は周りの責任も重いです。