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語られない闇を語る

司法試験、大学受験、労働問題、社会問題などを中心に、あまり語られていない・語りつくされていない闇について語っていこうと思います。苦難と失敗から得た知見を曝け出していく予定です。

冷静に考えて東京と地方の有効求人倍率・賃金格差は酷すぎると思う 地域によってチャンスの数が違いすぎる

 ここ数年は有効求人倍率が改善しており、新卒者を中心に就職状況はマシになってきました。平成27年度の有効求人倍率は1.23(パート除いても1.08)と平成22年度の2倍ほどとなっています(もろにリーマンショックの打撃を受けた世代としては人生の難易度違いすぎるだろと怒り狂いたくなるものです。)

 

 それでも地方を見るといまだに有効求人倍率も平均賃金も低いところが多いですし、指標を見るたび「東京と地方との格差があまりにも酷い。都会で暮らせる人と地方を抜け出せない人とではチャンスの格差が酷すぎる」、「若い人が都会に行くのは至極当然」と痛感する限りです。

 そこで、今回は地方格差の話をしたいと思います。

 

 

1.地域によって有効求人倍率に2倍以上もの差がある

 2013年での統計を見ると、倍率最高の東京と最低の沖縄とでは有効求人倍率に2.5倍ほどの差がありました。

 現在では正社員の有効求人倍率こそ大事だという意見も多いと思うので、2016年4月時点での都道府県別の正社員有効求人倍率を調べましたが、こちらでも東京都が1.16あるのに対し沖縄は0.33しかなく、東京都の半分ほどの数値の都道府県もかなりの数ある状況です。

都道府県別の正社員有効求人倍率

 

 当たり前のことですが、有効求人倍率が1を下回り、そこから下がれば下がるほど、限られた座を奪い合うために競争は激しくなり、頑張っても仕事に就けない人の割合は増えます。

 東京では人不足に困っているところが多く仕事を割とすぐ見つけられたとしても、地方ではそうもいかないのです。

 

 

2.平均賃金にもとんでもない差がある

 一般労働者(契約社員派遣社員)の平均賃金を見ても、2015年の東京の男性は421万なのに対し、下位5県は260万ほどしかありません。

 東京を除く上位5府県でも350万円ほどであり、下位5県とは90万円ほどの差があります。

都道府県別・一般労働者の平均賃金をグラフ化してみる(2016年)(最新) - ガベージニュース

 

 平均だとどうしても高所得者の影響で数値が跳ね上がってしまいますし、労働時間の長短とか業種とか細かい条件を見るべきと言えそうですが、そういったことを考慮しても、この差はあまりに大きくないでしょうか。

 

 

3.要するに田舎には良い職があまりない

 有効求人倍率も平均賃金も低いということは、平たく言うとそれだけいい感じの収入を得られる職が少ないということでしょう。

 「田舎でまともな暮らしができるのは公務員と銀行員ぐらい」という皮肉はよく言われていますが、田舎では中小企業が多く、賃金が低いのにさらに労働環境も悪く安定性までないというろくでもない職が多いので、残念ながらある程度は的を得ている部分があります。安定性があったり、賃金が高かったり何か秀でた部分があるだけでも良い方なのです。

 

 しかし、今や公務員試験大激戦区であり、倍率が30倍を超えるようなところも珍しくありませんし、銀行員などの収入に恵まれる職に就くのも容易ではありません。

 そして、その貴重な座を取っていくのはだいたい結構いい大学出身の人たちばかりですし、田舎の出身者が地元で就職しようと思っても、満足いく職に就ける難易度はかなり高いのです。

 

 

4.地方を抜け出せないのは自己責任なのだろうか

 「そういった事情がある以上、よい条件の雇用の多い都会に出ていくべき。それをしないのなら自己責任であって文句を言うべきではない」という意見も当然あるでしょう。

 しかし、東京に生まれ東京で育ち当然のように東京付近で就職を探せる者と、沖縄などの地方に生まれ育った者とでは、都会で就職を探すハードルの高さが違います。

 

 大学で都会に引っ越してそのままそこで就職活動をすればよいわけですが、ただでさえ学費が高いと問題となっており今では大学生半分ほどが学費ローンを組んでいる状況で、家賃や生活費の負担がかかるわけですから、経済面の負担は非常に大きいです。

 事実、東京神奈川千葉埼玉では大学進学者の9割が私立大学へと進学しており、割と平然と私立大学に進学できる環境がありますが、それ以外の地域となるとその限りではありません。四国中国九州では5割から7割ほどしか大学進学者のうち私立大学への進学者はいませんし、東京の私立に行ける学力があったとしても経済面の問題から地元の国公立を選ばざるをえない人が少なくないと推測されます。

データえっせい: 国公立大学志向の都道府県比較

 

 地方住みでも東京などに就職活動をしに行けばいいじゃないかと言う方も多いでしょうが、学生のことなど御構い無しに東京や大阪ぐらいしか説明会を開かない企業は実に多いです。しかも事実上の第1選考になっているパターンも多いので、参加しないのも難しいのです。

 往復の時間と費用、滞在費等を考えれば、どうしても東京等に住んでいる人たちよりも説明会に行ける数、実際に選考に行ける数が限られてくるわけで、住んでいる地域によってチャンスの数が変わってくるのです。

 

 結局、田舎出身というだけでそういうハンデがあるわけで、簡単に地元を抜け出せる人ばかりではないわけです。

 さらに貧乏だったり、親の介護が必要だったりするといつまでたっても地元からの脱出は難しくなるでしょう。そういう人って今や有り触れた存在ではないでしょうか。

 

 

 自分の生まれ育つ地域はまず選べませんし、地元を離れ良い条件の雇用の多い地域で就職活動ができるかは親が十分にお金を持っているかによって大きく左右されるわけです。

 地域によってこれだけ差がある上、地元を抜け出してよい条件の雇用の多い地域で満足に就職活動をできる人ばかりでないのに、「良い職がないし就けない」という人をことごとく自己責任で切り捨てるのは適切ではないでしょう。

 

 関東でも関西でもどこの大学でも自由に進学しその地域に住めるという前提があれば自己責任と言ってよいのでしょうが、そういう前提を満たしている人は多くないでしょう。

 地域や親の問題が大きいことも多々あるのに、そんな事情など無視して「地元から抜け出さないのは自己責任」と言うのはいくらなんでも乱暴すぎないかと思います。

 機会の平等が十分に保障されてから自己責任というならわかりますが、機会にあまりにも差がありすぎるのに、その際を一切無視して自己責任の一つ覚えで糾弾するのは不適切ではないでしょうか。